子育て女性の意見は反映されにくい

子どものいる女性の意見は政治に反映されにくいのではないかというお話。

政治でも経済界でも、世の中で活躍している女性をみていると独身か、結婚していても子どもがいない人がかなりの部分を占めているように思えます。実際には世の中には子どものいる女性がかなりの割合でいるにも関わらずです。

考えてみれば当然のことかもしれません。
特に小さい子どもを抱えた女性は(本来は男性も、だけど、現状では一般的に女性の負担が大きい)、それこそ目の回るような忙しさです。

朝6時半に起きて2人分の弁当を作りながら、朝ごはんを用意して、子どもの着る服を出して子どもが時間までに食べ終わるように促し、時にはサポートし、着替えさせトイレに行かせてとやっている合間に1番下の乳児にミルクをあげゲップをださせて着替えさせて、忘れ物のないように荷物を準備して8時20分に家を出て幼稚園まで子どもたちを送っていく。帰りがけに買い物、帰ってから掃除、洗濯、赤子を寝かしつけ、寝てる間に夕食の支度をしながら自分の昼食をかきこんでいると赤ちゃんが起きて、オムツを替えてミルクを作って、あげて、としてる間にお迎えの時間がきて。という具合です。これにプラスして、細々とした用事、つまり郵便物の受け取りや、ちょっと遠出する買い物、子どもの予防接種、近所のつきあい、幼稚園の下見やらいろんなことがあるわけです。

とてもじゃないけど、政治に参加することなんかできなさそうですし、政治に関心を持ち続けて情報を追いかけることすら難しそうですね。結果的に社会への発言力が弱くなる。

発言力がないとどうなるかというと、当選しないとただの人、である政治家からみて政策のプライオリティが下がってしまいますし、マスコミとしても発言力がないグループは叩きやすい。
子育て世代への支援となるはずの子ども手当ても、いったんスケープゴートになると、マスコミも政治家もそろって簡単に叩き潰してしまいます。マスコミはある時点で、これは叩いても大丈夫、むしろ叩くと喝采する層がかなり多い、ということに気がついたんでしょうね。
実際には、聞かれると「なくなると困ります・・・」と答える人もいるし、内心そう思っている人はもっとたくさんいても世間全体の大きな流れにはなりえない。

時間がなくてもネットでの参加なら、という話もありますが、ここでもやはり他の世代、独身者に比べると時間をかけられないので、ネット上ですら存在感は薄くなりがち。

一方で、選挙に行く人も多く、発言力が強い人がたくさんいる老人世代の年金支給を削減しようという話にはいっこうにならない。
復興財源だって、いつの間にか、復興国債増税の2択みたいになっている。


どうすればいい?

まずは絶対に選挙に行きましょう。
数万票のなかの1票しか持っていないことで、どうしても無力感を感じてしまい、嫌がる子どもを引き連れて行くのが面倒になるのも分かります。
が、あなたが誰に投票したかは結果的に意味がないかもしれませんが、あなたが投票することで、例えば「30代女性の投票率が上がる」だけで、政治家が考える政策のターゲットに影響を与えられることは間違いありません。選挙の結果ではなく、投票することに意義ありです。

社会が、女性の社会進出をもっとサポート
もう1つは、子育て中であってももっと社会で活躍できる社会にすること。
上に書いたhecticな生活も、もう少し、プロフェッショナルの育児・家事サポートが普及していれば緩和されるはず。
欧米(アジアでもシンガポールや中国沿岸部)では、お手伝いさんやベビーシッターがかなり一般的で、子どもを生んで数ヶ月ですぐにまた働き始める女性が多いです。
ぼくの友人女性は、旦那の国をまたいだ2−3年ごとの転勤について行きながら、その間に子どもを3人生み、それぞれの地でプロフェッショナルとして仕事を続けて海外出張までこなしています。それを可能にしているのは住み込みのお手伝いさんの存在です。こういったことが社会的に認められているし、お金の面でも優遇措置があります。

日本でこれを進めるために具体的に必要なのは、移民政策や、育児・家事サポート費用への税制措置などですね。移民受け入れにいろいろネガティブな側面があり、反対が多いのは分かりますが、人口政策的にも日本はもう選択の余地がないように思うのですが。

これらが揃えば、子どもがいる女性の発言権も強まり、より子育てのしやすい社会になり、ますます女性も活躍できるようになり、移民政策とあわせて多様性があり強い国になるのではないでしょうか。

「そんな移民沢山の危険な社会になるくらいなら衰退したほうがいい」という意見も時々聞かれますが、本当に衰退してしまった社会というのは簡単に想像するほど、安全で気楽で牧歌的なものではないと思います。
そんな世の中で日本人の犯罪率がいまと変わらないと思いますか?
中国のアパートの清掃人をするために家族みんなで中国に渡って働くことが想像できますか?
#例えばフランスのアパート清掃人には、かなりの割合でポルトガル人がいます。

子育て世代女性の話で書き始めたのですが、最終的には、
安全で快適な社会のためには経済発展は必要で、そのためには様々な意見が政治に反映される、多様性のある社会をつくることが大切だという話になりました。